パートナーにイライラする!!そんな時の賢いこころの整え方~ 男と女の境界線問題に迫る ~

こんにちは。臨床心理士として20年、
「幸せな結婚・夫婦・家族カウンセリング」の谷地森久美子です。

さて今回は、パートナーと良好な関係を築くための
関わりのコツについて。

自分も相手も大事にする
「(関係における)境界線」について、
前回に引き続き、考えていきます。

自他の境界線は中年期以降の成熟や変容の土台となる
「豊かな内面創り」に大きく影響を与える
要素のひとつです。

それでは、はじめていきましょう。

**********************************
       
一緒にいる時間が長くなってくると、身近なパートナーには、
よくも悪くも甘えてしまいがちですね。
     
そして「こうしてくれるといいのに~」、
「なんで、そうしてくれないの?」等、
小さな不満が積み重なっていくことがあります。

  
それでも現状が変わらないため、次第に相手に、
かみついたり、突っかかりたくなる…。
       
しかしそれは大抵の場合、相手が悪いわけではなく、
自分のほうの問題であることが多い。
      
「関係における境界/境界線」を越えて、相手を脅かしながら、
自分の理想や価値観を押し付け、思う通りに
コントロールしようとしているのです!
    
「関係における境界線」とは、どういうものでしょうか。
      
本来「あなた」も「パートナー」も、
異なる価値感や感情を持ち、それぞれの人生がある。
      
それぞれが、自分自身を持っていれば、自然と、
ふたりのあいだには、自他を区別する「一線」が生まれる。
それが「関係における境界(線)」です。
    
つまり、付き合いの長いカップルでも、夫婦でも、
一心同体はありえません。
        
自分が思う通りに相手は動かないし、動かせるものでもない。
      
「私は私、あなたはあなた」――と明確に、
それぞれが境界を侵さない在り方で生きられたら、
そのほうが、自分のこと、相手のこと、
共に尊重できるようになるのです。
      
その上で結果として、確かさのある親密な関係性を、
永続的に育むことができるのです。
(もし仮に、個と個が、協働できないなら、
それは「中途半端な自立・独立」の仕方です)
    
以上を踏まえて、
ふたりのあいだで良質な境界を実現させるためには、
どんな工夫が必要か。
ポイントは、次の5つです。
       
ここから、例をあげながら考えていきましょう。
      
        
A美さんとBさんは共働き夫婦。家事は分担制にしています。
しかし食事は、A美さんのほうが作る役目になっていました。
この春、A美さんは、異動しました。
新しい環境に慣れず、A美さんは気が抜けない日々を送っています。
     
そんな、ある日の夜、A美さんは、
くたくたになりながら21時過ぎに帰宅しました。
リビングに入ると、夫Bさんは、ソファーでくつろいでいます。
     
Bさんはビールを飲みながら、ご機嫌な様子で、
「おなか、すきすぎて限界。帰ってくるの、まってたよ~」。
     
A美さんは、そんな夫の様子をみて
「早く帰っているなら、食事の準備くらいしていてよ!」と
カチンときました。
          
さて、ここから、互いの領土を侵さない、
境界を尊重した関わりをするには、
どのような工夫があるのでしょうか。
       
     
1)自分のこころの中でわきあがる感覚や感情を、
無視しないで「感じる」こと:
    
帰宅して夫を見るなり、A美さんは、カチンときましたね。
「少しは、私の大変さも想像してよ!」。
ここで、怒っていることを、ちゃんと自覚しましょう。
    
そして、忘れていけないのが、その奥にある、
「私、とてもクタクタ。疲れているの…」という気持ち。
これを遠くに追い払わないこと。
     
そんな気持ちがあるからこそ、
いつもは気にせずいられる夫の態度や一言にも
「カチン」ときてしまったのかもしれません。
自分の気持ちや状態を、ひとつひとつ大事に扱いましょう。
    
      
2)感情が爆発してしまいそうな時の対処法。
怒りを感じながらも、生のままで外に出さず、
一旦、自分のこころの中に留め置くこと:
    
「(夫に)もっと察してほしい…」と、
ついつい期待してしまうのは、
A美さんの立場なら、仕方ないかもしれません。
       
「あ~あ、Bは、マイペースだ」と、
夫に対し、ため息をついてしまうかもしれません。
    
どちらにしても、A美さんのこころの中で
自由に思っていいことです。
                    
しかし、自分(A美さん)が思う通りに、夫Bさんが
察したり動いたりするかどうかは、別問題。
この点の切り分けが重要です。
      
「なんでしてくれないの!」と詰め寄るのは、相手を
コントロール(支配)してしまうことになり、
境界を犯す(相手の境界に土足で入る)ことに繋がります。
     
気をゆるめると、怒りで爆発しそうですが、
「様々な感情がぐるぐるうごめいているなぁ」と
こころの中に留め置くことを意図しましょう。
     
ここは、瞑想するように、一呼吸おくようなイメージで
行うのがコツです。
     
感情を生で出さず、こころに留め置く作業は、
「我慢」とは異なります。
      
我慢は、辛い感情を見ないようにするために、
こころの奥に押し込める、
しかし、あとで限界がくるやり方です。
     
逆に、こころに留め置く作業は、
自分の感情を眺め、寝かし、そして
熟成させることに繋がります。
      
つまり、内側から湧いた感情を、あらためて自分自身が
しっかり抱え内面を充実させる試みでもあるのです。
     
       
3)怒りや強い感情を俯瞰しながら、
  相手にどのように表現するか、内省してみる:
4)こころの中の思いを、相手に伝えるには、
  いつがよいかタイミングをさぐる:
   
3と4は、ほぼ同時に行うことも多いため、まとめて解説しますね。
     
さて、ここであらためて、「なぜ、カチンときたのだろう」と、
ゆったりと自分のこころの中を俯瞰してみましょう。
     
夫に、優しい言葉で労ってほしかったのか――、
     
自分もすぐにでも、からだを休ませたかったのに、
夫が先に寝転がっているのが、しゃくにさわったのか――、
    
日中、慣れない仕事で、泣きたくなってしまったのか――、
などなど、ながめてみましょう。
      
このような作業を続けていると、自分の中に、様々な側面、
    
例えば「疲れているのに、なお頑張ろうとする部分」、
「疲労で、くたくたな部分」、
「パートナーに突っかかって、甘えたくなっている部分」
などが見えてくるわけです。
     
その上で、どう表現すれば、
一番伝えたいことを相手にしっかり
届けられるのか、検討してみましょう。
     
それは、必ずしも言葉ではなく、
それ以外の表現であってもいいのです。
      
その際、パートナーに伝える、
ほどよいタイミングも見計らいましょう。
      
自分の中で、感情の整理が途上であったり、
相手が話を聴ける状況でなかったりした時に、
      
勢いで思いを吐き出しても、
口論やさらなるすれ違いになるだけですね。
   
    
5)上記の過程を経て相手に伝える際、
  相手の反応を見ながら、関わりを微調整する:
     
先に述べた1)から4)は、怒りをはじめとする
おさえがたい感情や衝動などを
セルフコントロールしながら寝かせ、
こころの糧に熟成させる試みです。
     
実際は、それほど簡単なことではありませんが、
     
コツは、ふたりのあいだに
愛やあたたかな気持ちを循環させる、
そんなイメージを持つことです。
   
関わり合いも、トライ&エラー&トライの繰り返しです。
焦らず、あきらめずに――!
   
    
このように考えると、
自分とパートナーとのあいだの
「境界線」を意図するだけでも 
人間関係は、かなり良質なものになるはずです。
     
「関係における境界線」は、
カップル・夫婦だけでなく、
   
親と子とのあいだの関わりにも役立つ、
大事なキーワードです。

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