「DV」から抜け出すための最初の一歩

こんにちは。臨床心理士として20年、
「幸せな結婚・夫婦・家族カウンセリング」の
谷地森久美子です。
 
時々芸能ニュース等で、
結婚生活の中で、
いわゆる「DV(被害)」に
あい続けていたことが話題になったりしますよね。

今回は、「日常のDVに気づいていく」を
考えていきます。

これは「妻からのDV」「夫からのDV」、
どちらにも共通する、
おさえておいたほうがよいポイントですので、
ぜひお読みくださいね。

それでは、はじめていきましょう。

**********************************
          
夫婦・カップルのあいだでは、理不尽なことが
意外と、たくさんあるものです。
   
DV(ドメスティック・バイオレンス)も、そのひとつです。
   
DVについて、ご存知の方も多いかと思いますが、
   
念のために、DVについて、
内閣府男女共同参画局のホームページを
参考にしながら、ご紹介します。
  
そして後半にはDVから抜け出すための
最初の一歩についてまとめましたので、
最後までお読みくださいね!

     
〔1〕これもDV、あれもDV:
    
日本においてDVは、
「配偶者や恋人など親密な関係にある、または
あった者から振るわれる暴力」
という意味で使われることが多く、
   
その暴力の形態としては、大きく分けると
次の3つがあります。
   
   
① 身体的な暴力――いわゆる殴る・蹴るの、身体への暴力:
具体的には、次の通りです。
   
平手やげんこつで殴る、蹴る、
モノで殴る・モノを投げつける、
胸ぐらをつかみ、激しく揺さぶる、
髪を引っぱる・ひきずりまわす、
首や腕をしめる、など。
   
    
② 精神的な暴力――言葉や態度によって、
相手のこころを傷つける暴力:
具体的には次の通りです。
(今回は経済的暴力・社会的暴力も、この中に含めています。)
   
大声を出す、なぐる素振りをして脅す、
「バカ」「甲斐性なし」「えらそうなこというな」
など、尊厳を傷つける暴言を吐く、
こちらに落ち度があるかのように、
性格上の欠点や実家の悪口などを
非難したり説教したりしてくる、
生活を監視してくる、
パートナーの携帯を勝手にチェックする、
メールや電話を定期的に入れるよう強要する、
生活費を渡さない、極端な節約を求める、
〇〇をしてはいけないと一方的な制限をかけてくる、
性的魅力がない等、一方的な非難や人格否定をしつつ
「おまえとなんか、してやらない」とセックスを拒否する、
「逃げたって、実家に火をつけてやるから無駄だ」と脅す、など。

③ 性的な暴力――相手が嫌がる性的行為を強要する暴力:
具体的には次の通りです。
   
相手は嫌がっているのに一方的な性行為をする・続ける、
拒絶すると非難してくる、
避妊具をつけない、
相手が望まない行為を強要する、など。
   
最後の③は、①と②の両方にまたがる内容ですし、
多くの場合、複数形態の暴力が重なっておきています。
   
   
〔2〕「こころを閉ざす」は、生き残るための工夫:
   
DVが長期化すればするほど、その状況は過酷。
私たちのこころを確実にむしばんでいきます。

その威力は、どんなに健康な人でも、
こころの奥に大きな穴があけたり、
深い傷を負わせてしまうもの。
    
でもそんな状況に対し、半ば無意識的に
こころは、次の2つの工夫をし始めます。
   
自分自身に対しては
①「こころを閉ざす
(こころのシャッターをおろす)」あり方。
    
周囲に対しては
②「大したことがないといった態度で
ふるまう(流していく)」あり方。
     
    
前者「こころを閉ざす」は、
外側の、DVによる辛い状況に対して閉ざす意味と、
同時に、内側(こころの奥底)の痛みに、
自分自身が直面しないですむように、シャッターをおろすこと。
   
後者は、本当は辛い現実がありながらも、
大したことがない…、問題なんてない…というような
雰囲気で周囲にふるまうこと。
   
そうしておけば、周囲に対してだけでなく、
自身の傷をも、大したことがない空気で
くるみ、見ないですむからです。
      
どちらにしても、
        
辛いこころの痛みに直面しないために、
感覚をマヒさせていくやり方です。
  
     
一般的に、
「固くこころを閉ざす」のも、
「大したことがないとふるまう・流す」のも、
周囲と距離を取ったり、ごまかしたりする感じが
しますが、
   
それでも、私たちはどこかで、人生に
失望せず、生き続けたいと、願うもの。
       
つまり、それらは、
つらい現実を
“サバイバルする(生き残る)”ための、
こころの防御反応なのです。
   
周囲にこのようなひとを見かけたら、
どこか心を閉ざしていても、あるいは、逆に
楽しそうにしながら、背後から悲しみが伝わってきても、
あたたかく見守ってあげてくださいね。
      
ご本人にとっては、生きていくための、
なけなしの工夫なのですから。
     
     
〔3〕この状況がDVなんて、辛い!
でもそれを認めることが大事:
   
DVは現在、一般用語として浸透しつつあり、
すでにおわかりの方も多い…、
    
と思いつつ、先に、具体例をたくさんあげたのは、
    
「こんなことも入っているの?
自分もあてはまるかもしれない…」と、
  
DVが日常化している生活に、どっぷり浸り、
「これがふつう」と思っている方々に
気づいてほしかったからです。
  
日ごろ、多くの方々からご相談を受けていると、
日本の夫婦・カップルの現実として、
    
警察や相談専門機関、民間シェルターなどに
駆け込まなければならないレベルのDVよりもむしろ、
  
それ以前(その手前)の、「日常にひそむプチDV」、
特に「精神的DV」にさらされている方が
多い印象があるからです!
     
つまり「自分もそうかもしれない」という
自覚をもつこと。
  
現実に直面することは辛いし、こころがうずく。
      
でもこれができると、結果的にDVの長期化や深刻化へ
歯止めをかけ、幸せな人生の可能性が生まれるのです!  
    
ところが、身体的なケガが生じるDVと違って、
精神的DVは、表に現れにくい。
       
そのため被害にあっている本人が、自覚を持ちにくい。
   
これが精神的DVのやっかいな点です。
  
暴言を吐いている側は、夫婦のあいだの
軽いからかいや、ひやかしにしかとらえていない。
  
同時に、被害を受けている側も、
    
(本当は傷ついているはずなのに)麻痺させる、
ただ、いつものことを言われたと流す――。
    
(この「(感じずに)流す」
「感覚を麻痺させている」は
DV被害者側の特徴のひとつです)
  
さきに、「こころを閉ざす」ことや
「大したことがない雰囲気でくるむ」ことは、
自分自身を守るための、
こころの工夫とお伝えしました。
      
ただ、その工夫が長期化すると、
こころは閉ざされたまま、固くなり続け、
      
ご自身が、何を感じていたのか、
次第にわからなくなります。
       
もし、人生のどこかで、
ふと、このままでいいのかと
思うことがあった方は
              
「こころを閉ざす」状態から、すこ~しだけ
   
(いきなりではなく無理がない範囲で)
ゆるめてみる――。
    
「ゆるめるって何?」とイメージできない方は、
    
今、こころの中にどんな感情や気持ちがあるのか、
自分はどうしたいのか、などをさがしてみる――。
        
これらが、DVと自分とを、あるいは、
ひどいことをしてくるパートナーと自分に、
一線をひく第一歩になるのです!

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