「永遠の愛」を育むために必要なこと ~ふたりを抱える器とは何か~

こんにちは。臨床心理士として20年、
「幸せな結婚・夫婦・家族カウンセリング」の谷地森久美子です。

今回は、「一線をひく」ことについて。特に男女のあいだでの「一線をひく」は、「境界線をひく/境界をしっかり持つ」ということです。

人間関係、特に距離が近いカップル・夫婦にとっては、関係維持や関係レベルの成長において、究極のテーマのひとつです。
それでは、はじめていきましょう。

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カップル・夫婦といった、
パートナーとして認めあう間柄においての
「一線をひく」、「境界線を持つ」とは、どういう意味でしょう。
      
それは――、
      
「ここまでが自分のテリトリー(大事な領域)」、
そして「これは、あなたのテリトリー」と、
       
自他をはっきりと区切り、区別すること。
    
         
こう表現すると、もともと境界線をはっきりさせない
文化を持つ日本において、
      
区切り・区別・一線を引く(画する)ことは、
水くさく、他人行儀に感じる方も
おられるかもしれません。
    
しかし、境界線によって、
「ここまでは私。ここからはあなた」とはっきりできると、
      
自分自身は、しっかり守られ、同時に、
相手のことも、尊重する態度やあり方につながるのです。
       
        
さて、カップルや夫婦のあいだで、
境界線が不明瞭だと、どのような問題が生じるのでしょうか。
ここから、詳しくお話ししますね。
   
   
1)カップルの場合:
    
「“こんなひとだとは思わなかった…!!”って、
彼女から、言われてしまいました… (:_;) 」
     
特に若い男性から、相談されるのが、これです。
    
でも、詳しい話を伺ってみると、
       
「彼はこういう人に違いない」という思い込みが膨らんで、
彼女が一方的に傷ついている状況。
        
実は、これ、男女関係にありがちな、
ある種の楽しい妄想/勘違いです。
女性に限らず、男性にもあることです。
      
彼女の中の、超個人的な、
「“理想の彼は、こういう人”という妄想」も、
     
付き合っていく過程で、現実の彼に触れて、
がらがらと崩れていく。
       
そのため自分の中では、
先のセリフ「こんなひとだとは…」という
怒りがむくむくと湧きあがる。
       
理想が崩れ、それによって傷ついたのだとは、
多くの場合、ご本人は気が付くことはできず、
       
一方的に相手(彼)が悪いと思うだけです。
       
         
さらに彼のほうも、大好きな彼女がご機嫌斜めのため、
        
自分が悪い、どうにかしなきゃと思ってしまい、
問題が複雑化します(笑)。
   
しかし客観的にみると、
彼女の個人的な思い込み(理想)と、現実の彼とのあいだに、
ギャップがあった――、ただそれだけの話なのです。
   
      
この現象が、「一線」「境界線」と、
密接に関係します。
       
       
彼女が一方的な楽しい妄想/理想を抱くのは、
彼女の自由です。
       
ですが、その思いを相手(彼)に押し付けて、
理想の通りなっていない!と非難するのは、
     
相手の境界線に侵入する(相手のテリトリーを犯す)
行為となります!
        
若いカップルのあいだの、
誰かとつきあう練習のような恋なら、
             
可愛らしいもめ事も含めて、
経験すること自体、意味あることですし、
     
それで別れても、青春の一コマとしていいのかもしれません。
      
しかし、そこからいつまでも成長できず、
       
境界線をひけない未分化なレベルにとどまっていると、
それは夫婦になってから、イザコザの元凶になっていきます。
      
       
2)夫婦関係の場合:
     
ここからは結婚している、していないに関わらず、
お互いがパートナーと認めている関係性における、
境界線問題を考えていきます。
     
仮に、不機嫌になりがちな男性Aさんがいたとします。
       
時折、パートナーのBさんに、怒鳴り散らします。
「おまえ(Bさん)が片付けをちゃんとしないから
家中、ごった返したままになっているじゃないか!」
      
片づけが苦手な、あるいは片付けをしない
Bさんが悪いのでしょうか。
       
これは、「パートナーが〇〇してくれない
(こちらの意向にそってくれない)問題」にも通じる話。
       
Aさんは、Bさんに、家をキレイにしてほしいと
思っています。
          
もちろん、生活している空間が、整理整頓されているのは
気持ちがよいことですね。
       
しかし、Bさんがなかなかできないことに、
Aさんが、むかむかイライラするのは、
「境界線が充分にひけてない」ということなのです!
   
自分の中の「〇〇すべき」というは
あくまで自分の価値観。
   
それと共に、相手の価値観や能力というものがある。
   
自分と相手で、「違いがある」ことに、気が付き認めること。
   
そして、イラつき、どうにかしたくなっているのは、
         
相手を自分の価値観に従わせようとしている、
つまりは、相手を支配したくなっていることに
等しいのです! (この部分、大事です!)
    
       
もしあなたがAさんのような態度になっていたら、
パートナーに対してできることは、
         
「まず、謝ること」、そして「丁寧に話し合うこと」。
    
ここで重要なのは、謝る際のマインド、在り方。
    
「謝ったのだから、相手にも、
自分のことを理解してもらいたい」というのも、
まだ相手の境界線を越えようとしています。
   
相手に、自分の価値観や期待を
押し付けようとしている状態だからです。
      
   
さて、ここで、自分は相手を支配しているつもりは
ないと思っている方も、おられますね。
   
ただ、上記にあげたことで少しでも心当たりがある方は、
自分も、パートナーも、ふたりとも
良質な境界線がひけるよう、次のことを試みてみましょう。
          
       
「ついつい自分の考えを押し付けてしまった。
不愉快な思いをさせたとしたら、ごめんなさい」と、
こころの底から、ちゃんと謝ること――。
       
パートナーとの関係を良好にしたい方は、
このような場面で、こころから謝ることに
ぜひ慣れてくださいね。
   
謝るべき大事な瞬間に、誠実に謝れないと、
最初は、ほんの些細なことだったのに、
      
その場で、充分に修復できなかったことで、
同じような掛け違いが積もりに積もって、
  
気が付いた時には、最悪の状況を
招いてしまうことがよくあります。
   
       
このような話、夫婦のあいだでよくあることだと
思いませんか?
       
逆にパートナーに日々、パワハラ的な態度を取られ、
自分のほうが悪いのだという思いにかられている方も、
      
自分の境界線があやうくなっています!
       
この時、試みるべきことは、
相手に届く言葉で、尋ねてみること。
     
「なんだか、いつもと違うようだけど、
何かあったのかな…。おしえてくれる?」
      
決してびくびくすることなしに、率直に。
        
あなたの果敢な態度に対し、
変わらずイライラしているようなら、
それは「相手の問題」です!
   
ここであなたは、意図的に一線を画す(境界線をひく)こと。
     
そうする意味・必要性は、
     
イライラは、相手自身が自ら対処することだから――、
相手のイライラに巻き込まれないようにするため――、です。
   
もし仮に、
     
「自分が悪いことをしたのか」と少しでも罪悪感を感じたり、
     
相手に対し
「なんで、いちいちイラついているのよ、子どもっぽい」と
       
不快な気持ちが伝染するかのように、
あなた自身もイラつき始めたら、
                
それは、境界線が不明瞭になっているサイン。
    
   
     
いかがでしたか。
      
親しく、近い関係での境界線問題は、結構、難しい。
      
うまくいっているカップルは、もともと個々が
「良質な心の器を持っている」ため、
自然と、自分自身を大事にし、同時に相手も尊重できる。
        
個の器がしっかりしているため、
「すでに、境界線がある/できている」。
        
だからこそ、境界線を越えた問題が生じても、
スムースに調整ができるのです。
      
     
みなさんと大事な相手との関係が、
絡まり、こじれがちになっている場合、
    
上記のあげた現象が起きていないか、振り返ってみましょう。
      
カップル・夫婦という関係性は、相互作用のため、
       
ふたりが互いに影響しながら、共に成長していくことが
理想ですが、
   
「相手にも変わってほしい」と願い続けてしまうこと自体、
   
支配(コントロール)することにもつながりかねません。
     
       
そのため、まずは、あなたが自分を大事に慈しみ、
        
自分の境界線を意識し、日ごろの関わりを
内省することから始めましょう。
       
         
内省の仕方、つまりは、
      
自分は、相手との関係に何を感じ、求めているのか等、
自覚すること、整理すること――。
    
それは別の機会に取り上げたいと思います。

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