パートナーの携帯を見ること、やめられません (*_*;

こんにちは。臨床心理士として20年、
「幸せな結婚・夫婦・家族カウンセリング」の
谷地森久美子です。

今回は、パートナーの携帯を密かにチェックしてしまうことについて。

「ダメだと言われても、やらずにおられない」心理について
考えていきます。

それでは、はじめていきましょう。

**********************************
          
「わかっているけど、やめられないんです!
でも、チェックせずにはいられないのです。」
   
紗理奈さん(仮名、30代後半)は、
パーソナルトレーニングを専門とする
スポーツトレーナーをしています。
   
仕事をしている時の彼女は、
明るくはつらつとした、笑顔が魅力的な女性。
   
「教え方が抜群」
「いつも元気がもらえます」
    
ジムのお客さんたちからの信望は厚く、
本人も、仕事にはやりがいを感じています。
     
 
ところがプライベートになると、気分は一転。
   
5歳年下の彼氏と同棲中で、公私ともに
充実…なはずなのに、うかない顔。
    
「彼といると、すごくほっとできる。
でも、もし、このひとが私の人生から
いなくなったとしたら――。
考えるだけで、いてもたっても
いられなくなるんです!
      
彼のことが好きになればなるほど、
  
彼が自分以外の誰かと一緒にいるだけでイヤ、
彼が、ほかの誰かに優しい笑顔を向けるはもっとイヤ、
        
さらには、彼の関心が自分より若い女性に向けられて、
浮気されたら、生きていけない!
       
もう、私、どうにかなりそう―――!」
   
いったん、このような妄想がふくらみはじめると、
何もできない子どものように、無力さに襲われる、
と彼女はいいます。
   
  
ところが、まるで、その無力さを打ち消すように、
同棲が始まって間もなく、紗理奈さんは、
あることをはじめました。
       
それが、彼の許可を得ずに行う盗み見&確認行為。
   
彼が入浴中や完全に寝入ったあと、
彼の携帯電話や財布、カバンやポケットの中身まで
密かに、しかしもれなく、怪しいことがないかを
チェックするのが習慣になりました。
   
「大丈夫、疑わしいことなんて、何もない」
と証拠集めをして、
自分で自分を安心させるために。
    
  
ある日のこと。
彼にもそのことが明らかになってしまいました。
   
「自分は見られてまずいような疑わしいこと、
していないよ。
でも、隠れてチェックされるのは気分が悪いから、
見るのはやめて」
  
彼は、優しく紗理奈さんをさとしました。
         
でも彼から「やってはいけない」と言われると、今度は
   
自分が知らないところで、いつか本当に、彼は
浮気するのではと、さらに不安がふくらんでいく。
  
「やめることなんて、できません、どうしたらよいでしょう」
紗理奈さんは、切なそうに、つぶやきました――。
    
  
無断でおこなう携帯、財布などのチェックは、
親密な関係のあいだで、もめごとになる話題のひとつ。
    
まるで、学生時代の持ち物検査のように、
パートナーの携帯、財布、キャッシュカードの明細など、
繰り返し確認しないといられない状況は、
      
過去の恋愛で二股かけられたり、
ひどい裏切られ方をされたり、
                  
あるいは現在のパートナーとのあいだに
同様のことが起きて、
     
こころの奥の生傷がうずき続けたり
しているのかもしれませんね。
   
     
その一方、幼少期に、ほっとできる場所がなかったり、
ずっとひとりぼっちで寂しさや満たされなさを感じていたり、
「どうせダメだ」と自分で自分を否定したり、
         
あるいは、「もっと私を見て、認めて!」と、
強い承認欲求を身近な大人に求めながらも
かなえられなかったり等、
          
本来は、親子関係の課題であることが、
携帯チェックという変形させた表現で、
再現(再演)されることも、よくあります。
     
紗理奈さんのような状況に陥っている方は、
次のことをヒントにしてみましょう。
    
     
夜な夜な密かにやり続けて、
やめられなくなっている方へ:
   
パートナーの持ち物を無断でチェックしてしまう行為を、
善悪で判断せず、ここではあくまで、
どうしてもせざるを得ない立場にたって
考えていきますね。
     
大事なパートナーを失いたくない不安や恐怖は、
油断すると、どんどんふくらんでいく。
      
携帯などのチェックは、
自分が泣き叫びそうになるのを防ぎ、
なんとか平常を保つための工夫ですよね。
       
携帯、財布などをひとつひとつ確認して
「きょうも、相手に疑わしいところはない」と、
自分で自分に言い聞かせる。
        
するとほんの一瞬、目の前の霧が晴れてくる。
でも、少したつと次の不安がふき出してくる。
            
この多大なエネルギーをさく割に効果が
少ないやり方は、
       
一方で、続ければ続けるほど、
パートナーに不信感を募らせます。
            
離婚を予定している方が、
密かに携帯チェックをする話は
よく聞きますが、
      
それらは前提として、相手を罰し、別れることを
目的としていることがほとんどです。
      
一方で(相手を失いたくないための)
密かな携帯チェックも、
        
客観的にみれば、相手の境界線に土足で踏み入る、
一方的な力の乱用です。
      
相手の気持ちは無視し、
でも自分のほうは、やりたい放題のために、
        
この苦肉の先も、結果的には、
大事な関係にひびが入るという矛盾。
      
そんなことを続けていたら、ご自身が辛すぎます! 
      
ひとりで不安や恐怖と戦うのをやめ、
パートナーに、素直にこういいましょう。
      
「あなたを失うのがこわいです」
「私は、あなたがとても大事なんです」と。
             
素直になるのも怖い。
      
でも、あきらめず何度かは、
ちゃんと自分の気持ちを伝えましょう。
     
このほうが、ストレートに
相手に届くアプローチです。
     
パートナーのことは、この先、
ずっと両手で抱きしめていたいほど、
大事な存在ですよね。
    
疑うべき何かの証拠あつめをする以前に、
あなたが本当に求めているのは、なんでしょうか。
        
優先すべきは、あなたのこころの底に眠る、
消え入りそうな、でも一生かけても手に入れたい
「願いに気づくこと」です。
                    
かけがえのないパートナーとともに
一緒にほっとできること、
         
つまり「互いがこころの拠り所になること」も、
そのひとつかもしれませんね。

公認心理師・臨床心理士 谷地森久美子の公式メルマガ
公認心理師・臨床心理士 -谷地森久美子の公式メルマガ-
お名前(姓)
メールアドレス(必須)
Powered by メール配信システム オレンジメール

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


公認心理師・臨床心理士
谷地森久美子の公式メルマガ
お名前(姓)
メールアドレス(必須)
Powered by
メール配信システム オレンジメール

ページ上部へ戻る