性の悩みを『ノルウェイの森』を題材に読み解く

こんにちは。相談件数4万件、
「幸せな恋愛・結婚サポートカウンセラー」、
谷地森久美子です。

「性の悩み」というと、
皆さんの中には、気軽には触れられず、
スルーしたくなる方もおられることでしょう。

しかしこれまで、
取材やカウンセリングのような、
安心してこのテーマを語っていい場が与えられると、
パートナーとのあいだの「性」に関して、
せきをきったように熱く語られる方が、
とても多い状況でした。

そのため今回、
あえて取り上げることにしました。

まずはお読みいただくことで、性の悩みが自分だけでないことが伝われば幸いです。今回は、女性がひとりで悩み続けることが多い、ワギニスムス(膣痙攣)について考えていきます。みなさんは、村上春樹氏の小説『ノルウェイの森』のヒロイン直子が、ワギニスムスだったことを、ご存じでしたか?   ******************

『ノルウェイの森』の直子と、ワギニスムス(膣痙攣)?!

どういう関係があるのでしょうか。

まずは、主人公ワタナベ君と、
ヒロイン直子の会話を見てみましょう。
(以下、『ノルウェイの森』(下巻)から
会話を一部抜粋しています)

直子  「どうして私 濡れないのかしら?」
私がそうなったのは 本当にあの一回きりなのよ。
四月の あの二十歳のお誕生日だけ。
あなたに抱かれた夜だけ。」

ワタナベ「それは精神的なものだから、
時間が経てばうまくいくよ。あせることないさ」

直子  「もし私が一生濡れることがなくて、
一生セックスができなくても、
それでもあなた  ずっと私のこと  好きでいられる?
ずっとずっと  手と唇だけで我慢できる?
それともセックスの問題は   他の女の人と
寝て解決するの?」

ワタナベ「僕は本質的に楽天的な人間なんだよ」

筆者は『ノルウェイの森』を初めて読んだ時、
上の、直子があとにも先にも、1回しかセックスが
できなかった”ことについて、これは

「二十歳前後に発症した精神病(おそらく統合失調症)を
ロマンティックに演出する、ひとつのエピソードに違いない」と、
自分勝手な解釈をしていました。

ところが産婦人科医師、宋美玄(ソン・ミヒョン)氏は、
著書の中で、

“ ヒロイン直子も、ワギニスムス” と指摘しており、

あらためて『ノルウェイの森』を読み返すと、
あぁ、確かに~!

「ワギニスムス(膣痙攣)」とは

セックスの状況で、男性器を挿入の際に、
女性器周囲の筋肉が反射的に痙攣して、
挿入が困難になる性交困難症のひとつです。

「膣痙攣」という言葉の響きで、

「挿入した男性器が抜けなくなる状態」の印象が強いですが、

実際のところ、男性器が抜けなくなることは
都市伝説であり、まれだとされています。

一見、婦人科メインの問題のように思われますが、

ワギニスムスは「心理的なものが主たる原因」とされています。

例えば、「育った家庭環境」 「女性性の拒否」
「性にまつわるトラウマ・性被害」 など。

それが原因でセックスが不快なものになってしまう――。

ワギニスムスは、こころの専門家のサポートが必要です。

筆者のカウンセリングの中でも、

「好きな人と触れ合うのは、もちろん好きだけど、
セックスは、したくない。
でも、彼との関係をくずしたくない」

と言った、セックス嫌悪を訴えるお客さまが、
時々おられます。

相手に嫌われたくないあまり、無理にセックスに応じて、
行為のあとに、吐いてしまう女性もいます。

ワギニスムスの理解がないまま、
イカせる技に懲りすぎると、

女性はますます、イケない自分が嫌になり、

ますます、パートナーに申し訳ない気持ちになり、

そうなってくると、悪循環。

「別れたほうが、まし」
という思いに苛まれる方もおられます。

先にあげた、『ノルウェイの森』のワタナベ君の発言も、

「精神的な問題だから」は、確かにそうですが、

「時間が経てばうまくいくよ」は、

それを聞いた女性が、負担を感じてしまう場合があります。

そういう意味で、本人とパートナー共に、

「ワギニスムスを理解すること」が必須です。

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