こんにちは。臨床心理士として20年、
「幸せな結婚・夫婦・家族カウンセリング」の谷地森久美子です。
今回は、わたしたちが「幸せな今を実現する」
具体的な工夫について考えていきます。
歳を重ねる分だけ、「自分の人生、これでいいのだ」と
納得感や自尊心が高まっていく在り方は、
私たちの共通の願いかもしれませんね。
そして、お子さんをお持ちの方や、
援助職や人材育成に関わる方にとっても、
おさえておきたいテーマです。
それでは、はじめていきましょう。
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意志のあるところに、道は開ける――。
このフレーズ、どこかで聞いたことが
あるでしょうか。
そうです、
2014年から2015年にかけて大ベストセラーと
なった坪田信貴さんの本に出てくる、
有名なフレーズです。
お勉強が苦手だった普通の女の子が、
1年間で偏差値を40上げる…。
夢物語のようで、でもホントの話。
自分を変えたいと思う人は多いけれど、
実際、変わるためには、強力な意志の力がいる。
この「意志の力」は、受験突破に限らず、
中年の危機をはじめ人生から何度も試される、
ミドルエイジこそ、手に入れたい力です。
そのためには前提として、
「自分を信じ、愛する」ことが必須。
自分を愛することが可能になるには、
長い人生の中で、古い自分から新しい自分へと、
細胞分裂するように、何度も何度も
変化し続けながら
親や家から「自己分化していく」
(自分自身になる)ことが必須です。
今回は、自分自身になるための
「3つの鍵」について深めていきます。
それは、
*自分がありのまま愛されること
*「こうなりたい」理想のモデルや
人生の目標があること
*仲間がいること、居場所があること
以上3つを叶えるためには、
次の存在(重要な他者)が必要です。
(これは近年、欧米で主流のひとつと
なっている自己心理学の考え方です。)
1) 自分のことを、太陽のようにあたたかく
肯定し、受けとめ、包み込んでくれる存在
2) 自分の理想となり、
目標を示してくれる存在
3)「一緒だね、似ているね」と
親密さを感じる仲間の存在
私たちは、これらの存在が
希望の光となって、
ありのままの自分が愛され、
安らぎや強さがこころの中にやどる――、
理想や目標が明確となることで、
生きる意欲や情熱が、
自分の中から湧いてくる――、
何かが似ており共通項がある仲間によって、
ひとに対して親密感を抱けるようになり、
その関係の中で、もまれながら
生きるスキルを身に着けていく――。
それらの存在によって、
私たちは、自分自身が創られていくのです!
ところで、みなさんの中に、
「上のような相手が見つからない場合、
どうするんだ!?」
と、疑問をなげかけたくなる方も
おられますよね。
でも、大丈夫です、
ここから、そんなあなたのために、
自分の拠り所となる相手を見つけるための
具体的な工夫をご紹介いたします。
① 格闘してきた歴史を、意図的、
自覚的に表現してみる
(ただし、相手を吟味すること):
生きてきた歴史は、自分にとっては馴染みがあっても、
周囲のひとは気づいていない…。
これは、意外とある事実。
だからこそ、
「本当は、こうだったんだ…」と安心できそうな
ひとに、そっと伝えてみる。
当たり前な話ですが、結構、重要です。
コツは、相手に対し、事前に打診。つまり、
「聴いてもらいたいことがあるけど、
大丈夫? いつがいい?」と確認すること。
その上で、相手の反応をみながら、
小出しに話をしてみる。
「このひと、受け入れてくれそうだ」と
感じると思わず、
今まで心に押し込んでいた分、
うわーっと思いのたけを語りたくなる…、
「一刻も早く、全部伝えたい!」と
気持ちがせくことがありますが、
自分の衝動に飲み込まれない予防策として、
「きょうは、ここまで」と、
あらかじめ決めておくこと。
そのためには、「何を、どう話すか」。
ある程度、自分の中で、整理しておいたほうが、
あなたも相手も消化不良になることを
防ぐことができますね。
以上は、あなたの大事な話を、大事な相手に、
確実に届けるための工夫です。
それから、もうひとつ。
話に夢中になると、身体に力が入って、
息が浅くなります。
そうすると、不信感がぬぐいされないまま、
一方通行の話になってしまいます。
話しながら、時々、「はぁ~」と一呼吸おいて、
自分の心身の状態と、
聴いてくれている相手の様子も、
よく見て感じてあげてくださいね。
お互いの反応の連続線上に、
あたたかな気持ちの循環、
コミュニケーションが生まれます。
② 相手はしっかりと吟味すること:
自分の話をする「相手選び」は、
先の①とあわせて大事なことです。
世間話ではないので、
誰でもいいわけではありません。
この人なら大丈夫、と選んで話してみても
実際、思う通りにはいかないこともあると、
心にとめておきましょう。
それは、自分を守るための
リスクマネージメントです。
あなたの思いを、確かに受け取ってくれる人が、
すぐに見つからなくても、
「やっぱり相談しても意味がない、
自分には無理」と諦めず、
できれば3~4人にはトライしてみることです。
こころの専門家も、リストの5番目くらいに、
候補として入れてみましょう。
そして専門家に相談する場合も、
数人と会っただけで
「専門家なんてダメだ」と決めつけないこと。
専門家はその分野で研鑽は積んでいますが、
実力もそれぞれで、相性もあります。
スーパーマンではありません。
私も、人生の様々な局面で、医師や弁護士や、
自分の勉強のためのスーパーバイザ―
(心理の専門家)など、
たくさんの専門家に力を貸してもらった
経験があります。
そして、そのほとんどが一発で、
自分にあう人は見つかりませんでした。
でも、試行錯誤して、真摯に相手に向かう中で、
徐々に、「このひとなら、大丈夫」という
見る目が養われてきました。
③ 人生不平等だとあきらめないこと:
「そんなこと言ったって、
自分の話を聴いてくれそうな
相手なんて、いない!」
「また色々と動き回って
頑張らなきゃいけないのは、
疲れる、もういい!」
こんなふうに、心がかき乱れ
怒りが沸いてくる方も
おられますよね。
その場合、心にとめておいて
ほしいことがあります。
――それは、もしかすると、あなた自身、
自分にも、自分以外にも、
信じないことを起点にしているから、
ちょっとしたことに「やっぱりダメ」と
決めつけて、不信感にとらわれる
パターンがあるかもしれないこと。
このパターンやこころのクセのために、
すぐに、心のシャッターをおろす。
そのことで近寄りがたい雰囲気が生まれる。
そして結果的に、
自分を受け入れてくれる相手が
見つからない状況を
つくりだしていることがあります。
でも、もっと思い描いた人生にしたい、
ですよね。
だったら、これまでより少しだけでいいから、
「このひと、どうかなぁ」と
心をオープンにしてみる。
その在り方は、次第に周囲に伝わるもの。
そうすると、少しだけ開いた心のすきまに、
あたたかな気持ちが入ってきたり、
相手のほうに伝わっていって、
気持ちの通い合いが生まれ始める。
あなたの、ちょっとした一歩が、
状況を変えられるのです。
肝心なのは、自分の人生、諦めないこと!
自分で自分のことを見捨てないことです!
「他人のことは期待しません」とか、
「もう、いいんです、何やっても
だめなのですから」とか、
自暴自棄になって、そして諦める
(何もしなくなる)のは、ある意味、
自分が幸せになる可能性を、自ら、見捨てる…、
ということに、ぜひ気が付いてくださいね。
「辛さをひとに話してみる」
「話す相手をさがす」ことが、あなたにとって、
新しいチャレンジだったとしたら、
もちろん、怖い!!!
これまでの生活は、
こうすると、こうなるといった経験値が
あるため、見通しがつきます。
そして見通せる分(居心地が悪いけれど)
安心なのです。
でも新しい試みは、その先、
どうなっていくかわからない。
そのため、少しでも良くないことが起きると、
「やっぱりだめだ」と、やめる理由を、
見つけ出し、また元に戻る。
これは多くの方が陥りやすいこと。
未知のことは、やっぱり怖い。
一歩進んで、ビビッては、二歩さがる。
行ったり来たりは、大人でも当然。
変化はこわいから、それでいいのです。
それでも、「大丈夫、幸せになろうね」と
めげそうになるたびに、何度も何度も、
優しく、ご自身に、
ささやいてあげてくださいね。
そんなあなたに、私も、ずっとずっと
エールを送っています!
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