中年になった王子様とお姫様がどう生きるか?~35歳以降に訪れる「役割逆転」の活かし方(前編)

こんにちは。相談件数4万件、
「幸せな恋愛・結婚カウンセリング」、
臨床心理士の谷地森久美子です。

幼い時によく読んだ、
王子さまとお姫さまが登場する「おとぎ話」は、
「ふたりは末永く幸せにくらしました…とさ」と、
ハッピーエンドがつきものでした。

でも現実の結婚は…、
必ずしもそうはいきません。

「ふたりのその後」がうまくいくには、
様々な知恵や工夫が必要です。

さて今回は、ふたりが長い人生で、
共に生き残るために不可欠な「役割逆転」について
考えていきます。

それでは、はじめていきましょう。

************************

         
最初は、おとぎ話の主人公のように、
気持ちが通い合っていたはずのふたり。
     
心ときめく青春や恋の魔法は、時間や生活の中で、
浸食され、いつの間にか消えていくもの。  
     
でも、これは愛が消えたのではないのです。
      
むしろ勝負は、ここから――。
     
ふたりの、つながりを育む、大事な局面が始まるのです。
     
     
今回は、カップルが一緒に生活していく中で、
関係の危機を、どのように乗り越えていくか――。
      
ポイントは、
① 長い結婚生活には、役割逆転の転機があること。
② 役割逆転を、個々の成長、カップルの成長に活かすこと。
       
本編は、まず①について考えていきます。
    
それでは、あるカップルの実話をもとに、さらに詳しく説明していきますね。
   
       
大手企業でバリバリ働き、プライベートでは婚約者までいる、
夢のような20代を送っていたMさん。
   
そのMさんが、現在のパートナー、T氏と出会ったのは、
婚約破棄の直後でした。婚約者の、浮気が発覚したのです。
    
傷心のMさんは、友だちに誘われて
アマチュアバンドのライブに行きました。
      
大物ミュージシャン、斉藤和義さんも
メジャーデビュー前に出演していた、とあるライブハウス。
   
そこでMさんは、T氏と出会いました。
   
当時T氏は、本気でミュージシャンを目指していた大学生。
   
女の子にモテたいために、ではなく、
純粋に自分の音楽を追求していた彼の姿に、
      
傷ついたMさんは、心を癒されました。
   
そして、ふたりは恋に落ち、数年後に結婚しました。
  
結婚を機にT氏は、音楽の世界から、
会社勤めの編集者へと方向転換。
   
Mさんは出産後、大手企業を退職し、
子育てと家事に専念しました。
      
雑誌編集には、常に締切がつきもの。
泊まり込みや深夜帰宅で、連日、仕事に忙殺されていくT氏。
      
待望の子どもが生まれたにも関わらず、Mさんは孤独に陥り、
笑顔が消えていく状況に陥っていきました。
      
T氏は、そんなMさんの様子に、こころを痛め、一大決心。  
   
会社勤めから、フリー編集者に転向。
     
イクメンと言う言葉がない時代から、
夫婦での協働子育てを始めました。
     
その後、Mさんも元気を取り戻し、家族3人で
おだやかな生活がおくれる…と思いきや、
  
Mさんは、ゼロからネットビジネスを手掛けました。
      
「社会との繋がりを再び、取り戻したい」という切なる願いのもとに。
    
Mさんの才能は、またたく間に花開き、
     
起業2年目にして
アフィリエイトで5000万近くの利益を上げ、
気がつくと、夫の収入を上回っていました。
  
   
ふたりが出会った頃は、大学生と社会人。
結婚してからは、忙しい編集者と主婦。
   
そして、ここにきて、Mさんは、仕事にまい進する起業家。
  
T氏は、在宅で編集の仕事をしながら子どもの面倒を見る主夫。
     
    
「また、出かけるのか」
   
これまで一緒に生きていくために、役割の逆転を
ばねにしてきたふたりですが、
     
仕事で家をあけることが多くなったMさんに、T氏は次第に、
冷ややかな目を向けるようになっていきました。
     
    
子どもが寝静まった夜、せっかく顔を合わせても、
口論が絶えなくなっていく日々。
     
「離婚」が、ふたりのあいだに、ちらつき始めた…、
そんな矢先のこと――。
      
     
この夫婦のすごいのは、まさに、ここからなのです。
    
   
「この本、読んでみて。ここに書かれていること、
 今の私たちにとって必要だと思うから」
   
Mさんは、ある本を、リビングのテーブルに置きました。
    
最初は、気が進まなかったT氏。
   
本を放りっぱなしにしたまま、1週間、2週間が過ぎていきました。
  
そんなある日、T氏はふと、その本を手にとり、
なんとなくページをめくりました。
  
すると…、
   
まさに、今のふたりの状態がその本には、
書かれていた、というのです。
  
  
T氏は、言います。
「いかに、自分という枠の中だけで生きていたのか、
その時、はっきり、わかったのです。」
    
ここから彼は、意地の張り合いと、
「~すべき」の生き方を降りました。
   
     
一度、ぎくしゃくした関係。
いくら切り替えようとしても、そんなに簡単には
しっくり、いかないもの。
     
それでも少しずつ、互いを尊重しあう気持ちが、
ふたりのあいだをつなぎ始めていったのです。
   
    
  
T氏は、フリーランスになって以来、編集の仕事にとどまらず
著者としても、多くの本を出していました。
    
そして、その後、Mさんにも出版の話が持ち上がった時、
  
再び、あらたな「役割の逆転/転換」が起こりました。
  
編集者として、作家として、
これまで着実に経験を積んできたT氏が、
       
著者デビューのMさんを強力にバックアップ。
  
   
ふたりの足並みが、まさにカチッとハマった瞬間でした!
   
    
――そして最近では、ビジネスパートナーとして
一緒に行動する機会も増え、
        
行く先々で、その素敵な関係をどう築いたか、
話を聞きたがるファンが増えているそうです。
      
ふたりは20年近い歳月をかけて、
「ベストパートナー」となっていったのです。
   
   
   
この道のりで注目すべきは、ふたりの関係に何度も
役割の逆転/転換があったことです。
    
  
深層心理学の大家、カール・ユングは、
「役割逆転」に関して、次のように述べています。
       
中年期に入るにつれて、
   
男性は、青年時代に夢中だった権力や地位を求める、
男性的闘争から抜け出し、人間関係や感情に関心を向けていき、
     
     
女性は、時代・社会・家庭が、女の子に暗に要求する
(従順で控え目な)役割を、中年期以降、
手放していくもの――。
  
   
つまり、ユングは、
「人生の正午」と呼ばれる、人生中盤(中年期)に
    
朝(人生前半)に大事にされていた
すべての価値や理想が逆転していくこと、
   
そして、その逆転を活かす発想が
「自分の全体性を獲得する」=
「一生を通じての成長に繋がる」、と考えました。
   
    
さらに、カップルや夫婦といった、
「ふたりのあいだでの逆転」の場合、
   
その過程で、共に生き残ることができた暁には、
逆転自体が、成長の起爆剤となり、
  
ふたりの関係に大きな変容をもたらすことになるのです!
  
  
次回の後編では、役割逆転という、ある種の危機を
成長に活かすコツを考えていきたいと思います。 

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