心ときめく恋と青春が、通り過ぎていったカップルの「役割逆転」と「危機」を活かすヒント

こんにちは。相談件数4万件、
「幸せな恋愛・結婚カウンセリング」、
臨床心理士の谷地森久美子です。

結婚して、「めでたし、めでたし」となったカップルも、
ふと気が付くと10年、20年、30年がたち、
ヒロインとヒーローも中年期に入ります。

今回もそんなカップルが、
ふたりで人生を生き残っていくための
「役割逆転」と「危機」の
活かし方について考えていきます。

それでは、はじめていきましょう。

************************

   
ずっと一緒にいたい、ずっと愛しあっていたい。
   
私たちは、そういう願いを込めて、結婚しますよね。
      
ところが長い年月の中で、不信感を抱いたり悩み苦しんだり、
  
傷つけ/傷つき、憎しみあってしまうことがある。
   
だからと言って、
   
「結婚や夫婦関係って、こんなもの」
     
と、あきらめたくないですし、
   
ふたりのあいだの「愛」や「つながり」を、
否定するかのように眺めるのは、とても残念なことですね。
   
 
前回の記事で、
カップルの関係危機を乗り越えるポイントのひとつとして
  
長い結婚生活に起こる「役割逆転」について、ご紹介しました。
   
  
本編では、役割逆転や危機を
       
「カップルの成長に生かすコツ」について、
さらに詳しく考えていきますね。
    
   
ところで、
カップルにおける「役割逆転」って、
どういうことでしょうか。
      
例えば、こんなことがあげられます。
   
   
人生中盤以降の年齢になってくると、
  
これまで家事や子育てに専念してきた女性が、
大学や大学院に通い出して資格を取得したり、
   
あるいは仕事や趣味の集まりで、外に出ていく機会が増え、
   
自分を表現することを積極的にし始めたり、
    
「社会の中でポジションを獲得」
していったりする変化が、これに該当します。
  
女性の場合、
旧来の女性役割から、違う方向への変化は、
   
時代や社会の後押しもあり、
本人も自己一致しやすい印象があります。
(もちろんパートナーの理解が前提となりますが…)
     
  
ところが男性の場合、長い人生の中で、
     
あとから振り返れば意味あることと、
とらえられる状況であっても、
           
本人にとっては、しんどい・受け入れがたい形で
人生や社会から、役割逆転を強いられることが多々あります。
  
例えば、こんなふうに。
   
   
企業の中で、研究職や技術職的役割を担い、
本人自身も、それが天職と感じていたひとが、
  
中年期に差し掛かってきた時に、「管理職」を命じられる。
  
周囲からは、昇格に見えても、
本人としては「つまらない仕事」に感じられ、
    
仕事に対してやる気をなくしていく、
といったことがあります。
    
これは、「成果としてわかりやすい質の仕事」から、
     
人間関係の調整に代表される
「時間がかかり、形に現れにくい質の仕事」へ、
   
役割が逆転(転換)した、という例です。
    
     
前回も触れましたが、
   
若い時代の価値観や理想が、「人生の中盤に逆転する」――。
  
ここに、ユングは「中年期という時代の意義」を見出しました。
      
「逆転」は、悪いことではありません。
     
私たちの「無意識」は、
   
自分の人生をまるごと生きる(=全体性を獲得する)
   
ことを目的にしているからです!
    
   
さらにユングは、中年期以降の男性のテーマとして
次のことを述べています。
   
    
「中年男性は、青年時代に夢中だった権力や地位を求める
男性的闘争を抜け出し、人間関係や感情に戻ってくる――。
    
それは、たいていの男たちが、青年時代には
女々しすぎるといって拒絶したものなのだ――。」
  
    
つまり男性が、40代になっても、50代になっても、
    
「お金もうけ」をふくめた男性的闘争に、
一面的に価値を置きすぎる場合、
  
その後の人生の集大成が、難しくなることを示唆しています。
     
(男性のみなさん、この点をどうか、こころにとめながら、
ご自身を大事にしてくださいね。)
  
   
さて、この「逆転」は、
カップル・夫婦という「関係」の中でも生じます。
   
興味深いことに、卵が先か、鶏が先かのように、
  
ほぼ同時期に連動して、変化が起こることが
珍しくありません。
  
   
例えば、子育てが一段落した女性が、
社会に出ていくことを意図しだした時期、
   
夫のほうは、意に反した異動やリストラに
一方的に従わざるを得ない状況に陥ったりする――。
  
あるいは、
    
うつ病や、生命に関わる病気やケガ、事故に遭遇し、
人生から突然、一旦停止を迫られる――。
  
そして、「経済力」や「家庭内の力関係」に変化が生じ、
    
ふたりのあいだで、役割転換や逆転が起きることになるのです。
    
    
変化は、外側だけに留まりません。
   
これまで家にいた妻が、社会の中でイキイキ活動しだすと、
     
ふたりのバランスが変わり始め、
  
夫は、こころのどこかで、取り残され感や、
     
パートナーにとって、自分が重要でないような、
「スネるような思い」を抱いてしまうことがあります。
     
そのもやもやを放置しすぎると、
ふたりのあいだには隙間風がふき、
  
「しっくりいかなさ」「心の渇き」が色濃くなってくる。
  
そんな時、ふたりの片方、あるいは、それぞれが
癒しや安らぎを外に求め、不倫にハマっていく――。
    
(あえて、念をおしますが、
これは、男性に限ったことではありません。
逆の場合も、もちろんあります。) 
      
       
不倫は、既婚者が、外の異性と恋に落ちるといった、
表面的な理解をされがちですが、
  
そこには、上にあげた個人および、夫婦・カップルの、
    
「人生の反転」や「役割逆転」が関係して
起きていることもあるのです。
    
    
以上のような夫婦・カップルの役割逆転は、
    
これまでのふたりのバランスが変わる
「危機」とも言えます。
     
危機は、これまでの関係を脅かし揺さぶり、
壊しかねません。
     
できれば避けたい…ですよね。
  
     
でも、ここで声を大にしていいますね。
  
      
私たちが成長していくためには、
「危機は必要もの」なのです!!!
       
     
たとえ現状に満足していなくても、私たちは、
変化がない毎日に安住し、ついつい流されてしまうもの。
   
そのため、よほど大きなきっかけがない限り、
   
「変わらなきゃ、変わりたい!」
「このままでは私の人生、報われない!」
「人生かけても、なんとかしたい!」
     
といった、強い気持ちは生まれません。
   
     
「危機」とは、
   
「危険」と「機会(変化のチャンス・時機)」の、
はざまにある状況・状態です。
  
   
これは、危険と隣り合わせのため、
カップル・夫婦は、息の合わせ方が肝心。
  
バラバラに動いてしまえば、それこそ危険に巻き込まれ、
大事な関係に大きなヒビが入る。
   
一方、その危機に戸惑いながらも、
共に取り組むことができたとしたら――、
  
それは、喜怒哀楽が凝縮された、
    
ほかには代えられない、ふたりの
「共有財産・共有体験」となるでしょう。
   
この「危険を生き抜いた共有財産・体験」こそ、
ふたりの関係という「土壌」に、豊かさをもたらすのです。
    
   
つまり、「危機を活かすこと」こそが、   
ふたりの「関係が変容するカギ」となるのです!
    
    
人生の様々な局面で、役割逆転や危機は生じます。
    
その具体的な取り組みは、また別の機会に、
取り上げたいと思います。

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