こんにちは。相談件数4万件、
「幸せな恋愛・結婚カウンセリング」、
臨床心理士の谷地森久美子です。
今回は、「幸せな離婚を実現する」の後編。
「幸せな離婚」は、
ふたりで意識的に関係をしっかり終わらせることから始まります。
それでは、はじめていきましょう。
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「幸せな離婚」とは、どういうことでしょう?
「結婚」の対極にある「離婚」。それに
「幸せ」というポジティブなワードがくっついていると、
不思議な感じがする方もおられるかもしれませんね。
ずっと一緒にいられるはずと思って結婚したのに
幸せだった関係が、こじれてしまった…。
関係が修復不可能となった時、選択肢のひとつが
離婚となります。
離婚という選択をして幸せになるために、前回、
「離婚経験を自分自身で忌み嫌わない」ことが大事、
と、お伝えしました。
(詳しくは「前編」の記事を参考になさってくださいね)
今回は、さらにふたつ、ご紹介しますね。
それは、
① 結婚式と同様に、「離婚式」をしっかり行う
② 離婚の辛さ、悲しみを、抱えて生きていくこと、 です!
ここから、さらに詳しく説明していきますね。
① 結婚式と同様に「離婚式」をしっかり行う:
どんなに、ひどく辛かった過程であっても、
それ自体ふたりが創った、かけがえのない歴史です。
色々な葛藤があっての離婚ですが、
ふたりにとって「幸せな時」や「素敵な思い出」も
あったはずです。
それらを大切にし、幸せな離婚を実現するためには、
関係を“意識的に閉じる・終える”こと、そして、
夫婦になるとき結婚式をあげたように、
離婚を、「(儀)式」として、しっかり行うことです。
離婚式といっても、
特別なことをするわけではありません。
例えば、
離婚届けをふたりで一緒に役所に出しに行く。
ふたりで使っていたお茶碗や、コーヒーカップなどを、
儀式的に割る。
引っ越しの時に、これまで慣れ親しんだ場や空間に、
意識的に「さよなら」をする。
この時、心にとめてほしいのは、
これまでに感謝しながら、
関係を自覚的に閉じる意識を持つ。
この在り方が、心あらたに進む決意表明となり、
みらいへ可能性をもたらすのです。
もちろん、これらのことを
ふたりで行えるのが理想ですが、
無理な場合は、あなたひとりでも大丈夫。
離婚して時間がたってしまった方でも、
今からでも遅くはありません。
厳かに心を込めて行いましょう。
上にあげた離婚式の具体例は、
カウンセリングのお客様が、
実際に、おこなったことです。
ある女性は、離婚ではなく、終わりにできない恋愛に
悩んでいました。
しかし決意して、号泣しながら、
「おつきあいを終わりにする、お別れの儀式」をしました。
実際は、思い出の公園で、名前入りのお茶椀を
二人一緒に、「せーの」で、カチャンと割りました。
そうしながら「関係を閉じる」を、はっきり意図しました。
その終わり方・閉じ方が、これまでのふたりの関係を
尊重し、心通わせるものだったため、
その報告を伺った時の感動を、私は今でも覚えています。
そのお客さまは、1年後、新しい恋人を見つけ、
さらに1年後、念願だった「33歳までの結婚」をかなえました。
この例は、次のことを物語っています。
普段、あまり意識しないことですが、
人生は、「始まりと終わり」で彩られています。
不思議なもので、「しっかり終わる・閉じる」をすると、
先の女性のように、そこから新しい何かが「始まる」。
自覚的に終わらせられた人は、終えた瞬間、同時に、
新しいものをつかむチャンスが生まれるのです。
つまり「しっかり閉じる・終える・終わる」は
幸せにつながっていくのです!
② 離婚の辛さや悲しみを、抱えて生きていくこと:
頑張り屋な人ほど、離婚の辛さから
「立ちなおらねば」、「乗り越えなければ」と
心の中で、自分自身を、叱咤激励してしまいます。
周囲の人も、良かれと思い、
「一日でも早く、立ち直って」と
安易な励ましをしてしまいます。
でも本人は、離婚を心に決め実際に行動に起こすあいだに
すでに相当、エネルギーを使っています。
そこから更に、「一日も早く、立ち直る」なんて、無理!
これ以上、頑張らなくていい、
これ以上、立ち直らなくていい、
無理して、乗り越えなくていいのです――。
ただ、「つらかったなぁ」「悲しかったなぁ」と
自分の中の感情を、評価なしに、大事に抱える。
抱えるのが、難しい場合は、
自分の脇でも置くイメージでもいいでしょう。
「辛さ、悲しみを抱える」とは、例えば、次のようなこと…。
(特に男性の方は、大事にしてくださいね)
*泣きたかったら、泣くことを許してみる。
泣くのが飽きるほど、しっかり許可する。
*離婚の影響で、不調や症状が出た時は、
心と身体に、十二分に関心を向けて、
普段以上に質の良い休息をとる。
*今の状態に対して、自分はどうしたいのか、
わからなくなっている場合は、
「少しでもほっとできること、
安心できることは、何?」と、質問してみる。
以上のような問いかけを、少しずつ自分のペースで続けてみる、
――それが離婚の辛さや悲しみを抱える、という、
自分への優しい試みとなります。
もし、抱えることができない状態なら、それは
個人の限界をこえている、「SOSのサイン」。
無理せず、心の専門家を利用することをお勧めします。
最後に、もうひとつ、「幸せな離婚」にむけてお伝えしますね。
逆説的ですが、時に、離婚は、
ばらばらだった、ふたりの心に、橋を架ける
働きをし始めるものです。
「離婚」に至る道のりは、まるで、
何百度にも及ぶ高熱の、密閉状態の溶鉱炉に、
ふたり同時に封じ込まれ、
身も心も、崩壊していくような体験です。
しかし、それでも、もがき苦しみながら、ふたりで
「いま、ここ」に、とどまることができると、
混乱や絶望や悲しみを、ふたり一緒に、
目の当たりにするような体験となる。
これは、「体験前」と「体験のあと」とでは、
世界が全く異なって見える、
ふたりの成長と変容を促す質のもの。
そして、それは、ある意味、ふたりの共有体験――。
これほどの体験を分かち合った関係は、
実は、それほど「悪くない」。
もちろん結婚関係は解消ですが、
こういうのを「幸せにつながる離婚」だと思うのです。
これは、私の実体験から、みなさんにぜひ、
シェアしたいことのひとつです。
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