子どもは、親の鏡 ~寂しいのは、誰?~

こんにちは。相談件数4万件、
「幸せな恋愛・結婚サポートカウンセラー」、
谷地森久美子です。

子どものいる夫婦にとって、
子どもは愛する存在であると共に、
時に、こころの同士となることがあります。

いつの間にか、パートナーよりも
深い絆を感じる場合もあることでしょう。

今回は、
「子どもの問題行動は、実は、親のこころを映し出す鏡」
というテーマです。

そんなの見たくない…でしょうか。

でも、辛い中で、しっかり眺めなおすと、
子どもも、自分も、
人生の中で大事なものを見つけられる

きょうは、そんな話をしていきます。

***********************

A子さんは、我が子K君について、
吐き捨てるように言いました。

「最近、Kは、急に我がままになった。
家でも学校でも、好き勝手し放題。

嫌なことは全然やらないし、
わめき続ける。

以前は、私の言うことを良くきく
素直な子だったのに。
どうしちゃったの…」

K君の豹変ぶりに、A子さんは、唖然とした様子。

5年前まで、A子さんは、
アルコール依存症だった、もと夫Dから、
暴力・暴言にさらされる毎日でした。

大人でも耐えがたいほどの修羅場も、
A子さんの側には、いつもK君が一緒。

そんな過酷な生活状況は、
幼いこころにダメージを与えました。

その影響は、学校生活にまで、及びました。

「クラス全員、学年全体、学校中のみんなが
お前はダメだ、汚いって、
ぼくに悪口を言ってくる、怖い!!!」

それは、統合失調症に近い、
不安で恐怖に満ちた世界。

学校にいじめが
あったわけではありません。

傷ついたK君のこころは、
内側も外側も区別なく、
ただ恐怖の世界になっていたのです。

これは、暴力や虐待、トラウマのある子どもたちに
見られる症状のひとつです。

必死の思いでA子さんは、暴れるK君を抱え
地域の児童精神科を受診。

主治医の先生は、K君の憔悴しきった様子をみて、
いたわるように、こんなことをつぶやきました。

「小さいときから、
悲しかったこと、辛かったこと、泣きたかったこと、
傷ついて心が痛かったこと、怒りたかったこと、
たくさん、たくさんあったね。

でも、それをひとつひとつ感じないように
心にふたをしてきた。

そうしたら、心がパンクして、
きみの、元気まで、漏れて出ていってしまった。

これから、怖いことがない、安全な場所
(病院のプレイルーム)で、
好きな遊びをしながら、「楽しいな」「嬉しいな」とか、

いろいろな気持ちを感じてみよう。
そうすれば、きっと元気になるよ」

A子さんは、すがる思いで、毎週K君を病院に
連れていきました。

すると徐々に、病院は、K君にとって、
なんでも自由に受け止めてくれる人がいる
楽しい場所になっていきました。

病院からの帰り道、きょう楽しかったことを
笑顔で、A子さんにも報告するようになりました。

子どもの変化は、劇的です。

しかし、A子さんは戸惑いはじめました。

これまで見たことがないほど、喜怒哀楽を
表現しはじめたK君。

「以前は、静かに私の話を聞いてくれていたのに。

今は、ほとんど聞く耳をもちません。

家でも学校でも、好き勝手し放題。

この豹変ぶりは何?
これが良くなったということ?

前は私に反抗するなんてなかったのに、

“こうして、ああして”と、とてもうるさい。

かと思うと、急に、べたべたして、
“ギュッと抱っこして”って、甘えてくる。
何を考えているか、わからない。

Kは、いつも私の理解者・同士だと思っていたのに。」

世代間連鎖については以前も触れましたが、
A子さんの幼少期も、K君同様、過酷なものでした。

罵声、罵倒、暴力が
コミュニケーション。

自分を見つめてくれるのなら、
怒鳴られても構わない。

暴力や支配も、愛情と錯覚する。

だからこそ、K君とは以心伝心。

辛さ、悲しさを共有して生きてきた双子親子。

K君の変化は、安心できるようになった証拠。

だから周りの大人に気を遣わず、
自分の感情を出すようになった。

と筆者は理解します。

でも今まで、表現する機会が少なかったため、
多少、調整がうまくできず、言動が大胆になっているだけ。

A子さんに、我がままが言えるようになったのは、
K君なりのお母さんへの「甘え」の表現。

A子さんがK君の変化を快く思えないのは
どうしてでしょうか。

前のような素直な子じゃなくなったから?

もちろん、それもあります。

でもA子さんの訴えから
筆者はこんなことを連想しました。

A子さんも気づいていない、いや、気づいたら、
泣きそうになる理由があるように思えてなりません。

それは、
K君の好き勝手し放題や、甘えの表現は、
A子さんが、子どものころ、

“親に表現して受け止めてもらいたかったこと”、

でも、 “A子さんは、できなかったこと”
ではないでしょうか。

「どんな私でも、目を背けず、見て。

ありのままの私を認めて。

そして抱きしめて」

大人になった今も、表現できないほど、
A子さんの心の傷は、深いのかもしれません。

A子さんの物語は、次回に続きます。

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