愛するひととのあいだに、勝ち負けはいらない! ~「男女の勝ち負け」と「メイク・ラブ」2~

こんにちは。臨床心理士として20年、
「幸せな結婚・夫婦・家族カウンセリング」の谷地森久美子です。

子ども時代は、もう少しゆっくり時が過ぎていたのが、
歳を重ねるほど、早くなっていく…というのはよく聞く話。

日々の忙しさに、
自分の心をなくして(亡くして)しまわないよう、
一日一日を大事にしたいものですね。

さて今回は「男女の勝ち負け」と「メイク・ラブ」第二弾。
「愛の関わりに勝ち負けなんて、どういうこと?」
というご意見もあるかと思いますが、
案外日常的に起きていることなのです。

無自覚な「勝った/負けた」を越えて、
ふたりで抜け出していくヒントを考えていきます。それでは、
はじめていきましょう。

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「メイク・ラブ」…を想像すると、
        
なんだか、ドキドキ、わくわくしてきますよね。
        
恋愛自体もそうですが、
それは、莫大なエネルギーが満ち溢れている世界。
        
私たちを普段とは違う意識状態にいざなってくれますね。
         
          
その意識状態には、大きく2つの可能性があります。
        
それは「関係が深まる可能性」と「溝が生じる可能性」。
         
         
誰でも、この両方をもっており、
その時々の状況で、どちらかに反転することも
多々あります。
        
          
メイク・ラブにおいて、
         
こころも身体も、愛や情熱に満ち満ちて、
        
「最高~」「気持ちいい~」
「もう、どうなってもいい~」の時は、
        
自分と相手の境界線が消えて、溶け合い、
「至福の時」ですね。
        
まさにこれが、「関係が深まる」瞬間。

       
一方、「溝が生じる可能性」とは、
どういうことかというと――、
        
      
メイク・ラブの状況自体、理性が飛び、
社会的肩書や仮面(ペルソナ)がはずれて、
           
普段、こころの奥におさめていたものが、
うっかり、表に現れ出てくる。
         
普段コントロールしておさえている、
「小さな子どもの要素」も、ひょこっと顔を出す。
       
これを「(心理的な)退行」とも表現しますが、
          
「退行」や「子どもになる」のは、この場合、
必ずしも悪いことではありません。
           
これらは、
          
ふたりのあいだでしか実現しえない官能や快感を、
                    
「解放するための架け橋」になるからです!!
          
理性的にガチガチな鎧でかためているような
こころの在り方では、
        
メイク・ラブの醍醐味は味わえないですよね。
        
つまり、ふたりのあいだで合意があれば
「なんでもあり」なわけです。
         
赤ちゃんになって、ひたすら甘え、時に、
幼児暴君になってもいい…。
         
しかし繰り返し強調しますが、お互い
「合意が取れていれば」です。
           
ところが―――、
        
予想したことと違う事態になったり、
相手の反応が、思わしくなかったりした時に、
         
普段よりも無防備で傷つきやすい状況ゆえにダメージを受け、
        
自分の殻にこもったり、拒絶したり、
相手を非難・否定しはじめたりする。
         
まるで、子どもがスネて、駄々をこねるかのように。
        
       
これが、
「関係が深まる可能性」が、
「溝が生じる可能性」に変質してしまう瞬間です。
                       
もちろんこの状況は、ベットの中だけではなく、
家庭の中で、「家族にしか見せない一面」として、
日常的に起こっていること、とも言えます。
      
     
この後者に変質してしまう要因として、
次の2つがあげられます。
      
① 「自己中心性」
② 「傷つきやすさ」
    
    
両者ともに表裏一体の要素ですが、前者①は、
        
文字通り、いつも自分中心に世界がまわっている。
        
本来、違う人間同士なので、
メイク・ラブの好みのやり方や感じ方などが
異なっても当然なのですが     
      
「なぜ?どうして?」を繰り返し、
いつまでたっても相手の立場に立てない在り方です。
    
     
後者②は、
パートナーとのあいだで、想定外のことが生じた際、
           
充分な話し合い・分かち合いをしないまま、
自己完結的に、「傷ついていく在り方」です。
         
この人こそ、自分を受け入れてくれると
思っていたのに、それを裏切るわけ――?!と、
         
こころの中で嵐が吹き、強烈な怒りが
生じ始めるひともいますし、
        
貝のように自分を閉じ、相手と距離をとる態度に
徹していくひともいます。
     
先にあげたように、
       
自他の境界がなくなり、それゆえの一体感が心地よいと
互いに感じられた時、関係性は深まり、
        
メイク・ラブは、ふたりに良い影響を与えます。
          
その際に、重要なのは、
             
自分と他人は、違う存在、
その違いも含めて互いに尊重し認め合う――、
といったことを
       
実現できるような自分自身(自我)を
それぞれが、しっかり持っていること。
       
それが前提としてそろっていないと、
       
       
「愛しているなら自分の思っていることを
察してくれて当然」、
       
という幻想を、相手に抱いてしまいます!
(まさに、自己万能感を抱きがちな幼児の発想です)
   
      
この都合のよい幻想が、ふくらんでいくと、
メイク・ラブにとどまらず、
ふたりの関係自体が脅かされていきます。

本人の中では不愉快さが生じ、
場合によってはイライラした気分が
相手にも伝わっていきます。
        
この時の「不快さ」は、多くの方が感じることが
可能ですが、
               
「傷ついてしまったこと」、
それに伴う「怒り」などに関して、
       
本人は、無自覚な場合も少なくありません。
         
自分の中に、本当は傷ついた「痛み」の感覚や、
「怒り」という感情があるのに、
情緒のレベルで感じることができず、
        
「(相手の考えが)理解不能」「相性が悪い」など、
頭でっかちに、考えだけが先行しがちです。
         
すると、関係性の中に、
くつろぎ、信頼、安心感などが失われ、
次第に不穏な空気が、漂い始めます。
       
そして、この時点で、「互い」の無意識下に
恨みつらみが積もり、
        
こころのどこかで
    
「悪いのは、自分ではない、
そっち(相手)のほうなんだ」
      
「俺のいうことを聞け!」といった、
      
         
「勝ち負け」の世界、
「支配」の世界が生まれていきます。
      
不倫や突然の離婚の申し出などは、
これが、はっきり形になったものです。
               
(そして、セックス・レスの背景にも、
この勝ち負けが関係している場合もあるのです!)
     
       
見えないこころの中を、こうして
言語化してみると、ある意味、恐ろしいですね。
       
しかし、こういう、ふたりの心模様は、
うまくいかないカップルのあいだには、よく
見られることです。
       
       
さて、この勝ち負けの世界を、ふたりで
どう乗り越えていくか――。
    
      
今回は、「勝ち負けとメイク・ラブ」というテーマのため、
メイク・ラブへのヒントをご紹介しますね。
        
        
メイク・ラブも、コミュニケーションのひとつです。
    
ですので、相手の反応を見て、
よりよい方向に「微調整していく」が基本。
          
自分の感覚(良い・悪いなど)も、
愛情を込めながら
       
わかりやすい言葉でちゃんと伝えること。
        
「説明しないでも、わかってほしい」は、
自分が要求される側になれば、
ムリだということ、わかりますよね。
          
ここで大事なのは、自分の「気持ち良い・悪い」、
「してほしいこと・いやなこと」を、
自分自身が知っているか、どうか。
      
自分のことも充分知らないくせに、
       
でも「気持ちよくない原因は相手」と思ってしまうのは、
未熟な子どもの発想です。
        
いかに、相手とやりとりして、工夫して越えていけるか。
           
この状況は、「互いのコミュニケーション力」が問われます!
        
         
そして、気持ちよさを開発しあえる関係性になれると、
さらにメイク・ラブの世界は広がりますね。
        
         
生身のふたりが、互いを尊重し、かつ味わいながら、
いかに創造的なメイク・ラブを創りあげていくか――。
       
         
簡単ではないけれど、
「歓びや官能のとびら」をふたりでつかもうと目指せたら、
       
そして、そのとびらを、ほんの少しでも
ひらくことができたなら、
    
それは、勝ち負けを争う関係から、
    
「協働創造」(ふたりで幸せを創っていく)次元に
関係が一段階、進んだ(深まった)証です。
           
メイク・ラブが、なぜ、生きる歓びを
私たちにもたらすかというと、
       
それが単に、身体の気持ち良さにとどまらず、
   
愛するひととの関係を通して、
    
無意識に眠るエロス=いのちの源泉に、
触れることができるからなのです。
      
      
人生において、関わりあう相手が存在して初めて、
       
私たちは、愛を知り、いのちの源泉にも繋がり、
本当の意味で、自分自身とも出会えるのです。

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