こんにちは。臨床心理士として20年、
「幸せな結婚・夫婦・家族カウンセリング」の谷地森久美子です。
あるライター(男性)の
興味深い記事を読んだことがあります。
結婚してから、小さくてキラキラしたものが好きになり、
40歳にして体内女子率の上昇を実感している、とのこと。
この体内女子度は、これまでも、このページで取り上げてきた
「内なる異性(女性性)」にもつながります。
さて今回は、こころの中にある女性性・男性性、
その代表的な特質「エロスとロゴス」について取り上げます。
これらの要素を自分の中で自覚し
バランスよく育んでこそ、
相手との確かな関係も創っていけるのです。
それでは、はじめていきましょう。
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エロスとロゴス――。これらは、
みなさんにとって、自分に関係のない、
遠くにある要素だと受け取っておられるかもしれませんね。
特にエロスは、ある特定の偏ったイメージで見られがちです。
しかし、これら二つは、
あなたを個性化(自己実現)の道へいざない、
それと同時に、
パートナーとの関係を育むために大事な要素なのです。
さてここから、「エロスとロゴス」が、
どのように重要なのか、考えていきましょう!
1)エロスは、あなたに潤いとつながりをもたらす
生命の源泉:
エロスは、愛に基づいた女性性の世界です。
“女性性”というと、いわゆる「生物学的な女♀」を
連想しますが、「性別を超えた女性性」です。
(哲学やキリスト教の世界において「愛」は、
エロスも含めた3つの次元に分けて定義されています。
ここでは心理学的文脈で、それらの次元を含めた意味で
「エロス」と、考えていきます。)
もう少しわかりやすくいうと、エロスは、
愛ある関係(性)を成立させる、
根本のエッセンスです。
エロスときくと、エロティックな性的欲望や行為を
思い浮かべがちですが、
本質は、生命の源泉につながるもの。
その上で、エロスの代表的な特質は、
「つながること」、
「溶け合うこと」、
「境界がなくなること」。
私たちは、人生のどこかで――、
恋人と、パートナーと、愛すべきペットなどとのあいだで、
自他の区別がなくなり溶け合い、ひとつになったような…、
この上ない幸福感にふれる時がある。
それは愛にふれる体験であり、
生命の源につながる一瞬でもある。
分析心理学、深層心理学の大家、C.G.ユングは、
エロスを、感情や無意識に近い質を持つものと、
とらえています。
無意識に近いということは、
意識ではコントロールしにくい、ということ。
みなさんもご自身の愛情関係や恋愛を思い出してみると、
心当たりがあるのではないでしょうか。
エロスに魅了されすぎると、意識や理性を失うのです!
2)私たちに明晰さをもたらし、
人生に意味を与えるのはロゴスの力:
ロゴスは、言葉(ことば)・論理思考に基づいた
男性性の世界です。
そして、先にあげたエロスが
「溶け合う」「境界がなくなる」を特徴とすると、
ロゴスは、「選別・判断・切断」といった、
エロスと対(つい)/対称的な特徴があります。
それは、
拡散しがちな意識を、集中の方向にもっていくもの――、
「そうそう、それが言いたかったこと」というように、
闇や靄(もや)に包まれた混沌とした状況に、
しっくりくる言葉を与える働き――、
太陽の光を7色に分け、そこから適切な色を選びとる能力――、
「それ」と「これ」と「あれ」を区別し、
部分と全体とを同時に眺め、そこから
何らかの文脈的意味や秩序などを見出す働き――。
ロゴスは、従来、男性の根本的特質と理解されてきました。
ところが時代や社会、教育の変遷も影響して、
いまやロゴスは、女性の才能を開花させる一役を担っています。
しかし、だからこそ、現代では、
自分の内なるエロスとロゴス、
その両方を自覚し活かす意図が必要です。
なぜなら自我が充分に確立されていない幼少期には、
素直な良い子ほど、親の価値観や期待に、
応えようと努力します。
そして例えば、成果・結果主義に洗脳された、
ロゴス優先の生き方を続けてしまうと、
自分の中のエロスを無視する形となり、
女性の場合は、自分が女性に生まれたことに
肯定感が持てず、いつまでも心の奥で
嫌悪し続ける状況となります。
男性の場合は、親密性に課題を抱えることになり、
大事なものが補完されない枯渇感や、
孤絶感を感じることになってしまいます。
そして男女の関係においても、
エロスとロゴスは、
信頼と愛を循環させるために
欠かすことはできません。
エロスとロゴスのバランスは、
メイクラブにおいても
うまくいくかどうかのカギを握ります!
この点については、次回、ふれていきますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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