こんにちは。相談件数4万件、
「幸せな恋愛・結婚サポートカウンセラー」、
谷地森久美子です。
「あんなふうに、なるもんか!」と、一番、
身近な「親」を反面教師と捉え、
反発し続けた10代、20代の頃。
でも…、時が過ぎると、どうでしょう…。
いつの間に、嫌っていた親と同じように考え、
同じようなことをしている自分にふと気づき、
愕然とする。
みなさんは、
そういうこと、ありませんか?
自分の意志とは関係なく、
親から引き継がれてしまうものがある。
それを『世代間連鎖』
『家族神話』と呼びます。
今回は前回のストーリーの続きから、
これらについて考えていきます。
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「ぼくは絶対、ぜ~ったい、
父さんのようには、ならないからね!」
いつもは物静かな息子B(大学生)が、
その場を飛び出してしまいました。
ことの発端は、家族・親族勢ぞろいの新年会。
A子さんの夫Jさんは、次々アルコールを注文し、
あっという間に酩酊状態。
大声で歌い出し、A子さん、
そして息子にまで抱き付き騒ぎまくる。
ボトルを割ったことから
A子さんも感情が高ぶり、その場で過激な夫婦喧嘩。
ついに、お店の支配人の登場。
注意を受けて、試合終了。
支配人が個室から立ち去った後、
息子は耐えかねて出て行ってしまいました。
一晩あけた早朝、A子さんは一人で
コーヒーを飲んで、物思いにふけります。
(Jは、明日、単身赴任先に戻る。
私との関係もそうだけど、
息子のBともさらに溝を深めることになる。
なんとかしないと…。)
A子さんは、一呼吸おき、寝ている夫の耳元で、
ささやきました。
「昨日はごめんね~。お詫びもかねてランチでも、どお?
きのうのこと、一緒に話そう…」
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仲直りもかねた、ふたりでのランチ。
A子さんは、昨夜、息子Bが口にした言葉から、
新婚当初の思い出を、夫Jさんに伝えました。
さかのぼること25年前、
新婚ほやほやだった頃。
夫の実家に遊びにいった何度か目の食事時。
まだ元気だった義理の父が大騒ぎし
酔いつぶれてしまいました。
その夜、若き20代の夫は、
A子さんに、こうささやきました。
夫「きょうはごめんね。親父はあんなふうだけど、
“僕は絶対、親父のようにはならないから”安心して」
A子さんの夫は、現在、単身赴任で、仕事仕事の日々。
赴任先から帰宅しても、ずっとごろごろ。
布団とソファーが憩いの場。
Jさん「普段、A子やBと居ても、なんとなく落ち着かないし、
どうしていいか、わからない。
お酒を飲むと、…楽しくなって、なんだかわくわくする。
そして、気が付くと、わけもわからず絡んでしまうんだ」
夫はいつになく、
真面目に答えてくれました。
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A子さんが、Jさんにじっくり関わったおかげで、
次のようなことが次第に見えてきました。
若い頃、
自分の父親のようにならないと宣言したJさん。
ところが、年を重ねる中で、
そっくりになっている。
父から子へ代々引き継がれている
「酩酊するほどお酒を飲む文化」。
プロセス指向心理学の創始者、A.ミンデルは、
このようなアルコール問題や世代間連鎖の現象を、
「家族や家系全体で見ている夢・物語」ととらえました。
Jさんの言葉から翻訳すると、お酒は、
「自分に生気を与えるもの」
「家族や人との隔たりをうめるもの」
“元気が出ない。家族や大事な人と、
もっと関わりたい!!
…なのに、できない”。
そんな時、これまでのJさんや、
その前の代では、
お酒が賦活剤・潤滑油となったのでしょう。
と、すると「家族や家系全体で見ている夢・物語」を
家族の関わりの中に“自覚的”に、
取り入れるといいかもしれません。
今回の例であれば、
《その時々で潤滑油のように
丁寧にやりとりを心がけること》。
すると家族のあいだの隔たりは埋まり、
お酒は必要なくなるかもしれません。
実際、A子さんの働きかけが功を奏し、
Jさんはしみじみ、心のうちを語り出したのですから。
賦活剤・潤滑油としての働きを、
お酒を使うことなく、
ぬくもりを持った家族コミュニケーションで
実現したのです。
私たちは、アルコールを飲みすぎる家族に
力まかせに「お酒を飲まないで」と、北風のような
直球のアプローチをしがちです。
時には旅人を日のひかりで、
ぽかぽかあたためて、
上着を脱がす太陽のように、
家族神話を生かしたアプローチもいいかもしれません。
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