「うつっぽさ」への処方箋 ~立ち止まる勇気を持つ~

こんにちは。相談件数4万件、
「幸せな恋愛・結婚サポートカウンセラー」、
谷地森久美子です。

今回は、私たち誰でもが多少は経験がある
「うつっぽさ」について考えていきましょう。

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Aさん(40代)は理工系の大学院を修了後、
大手企業に就職。

入社以降、35歳までは大学院での研究を
活かして、企業にいながらも
研究職的なポストで業務に従事していました。

同期入社した女性と32歳で結婚し、
現在、小学1年の長男がいます。

30代後半から、たくさんの部下を抱えて
忙しい日々を送っていました。

まさに順調そのもの。

以前と比べ、変わったことといえば、ひとつ。
研究部門から営業部へ異動し
部下の「営業成績」を管理する
仕事内容になったことです。

風邪をこじらせた、ある日のこと。

体調も気分も、
持ち上がらない日々が始まりました。

明日の朝のことを思うと、
鬱々とし、夜は眠れない。

眠らないまま出勤を続けたため、ついにダウン。
診断は、「軽度のうつ」。

Aさんは、言います。

「これまで大きなミスもとトラブルもなく、
上司や部下にも支えられてきました。

でも――、今、仕事にやりがいがありません。

朝から晩まで、実験に明け暮れた、
研究一色で過ごせた時代のほうが、
“生きている” という実感がありました。

世の中には食べるのも
ままならない方々もいるのに、
こんなことを思ってしまう自分は、
我がままだと思い、
なお、落ち込んでしまうのです。」

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一般的に営利を目的とする組織においては
より高い生産性・効率性・迅速性が重要視されるもの。

嫌なこと・苦手なことでもやっていくのが「仕事」です。

もともと研究職志向だったAさん。

あえて「企業」に入り、
納得の上、「営業部の管理職」になったはずなのに、
自分に「心理的な無理」を強いることになりました。

外からみると順調なAさんのような人でも、
ちょっとしたつまずきで元気をなくし、
気力が湧かなくなることは特別なことではありません。

こころを「地球」に例えると
太陽の光に照らされている「日中の地球の部分」は
“頭で意識したり理解できる、こころの側面”。

一方、「地球の裏側になっている部分」は、
暗くて良く見えない、“自分でコントロールできない、
もう一方の、こころの側面“です。

私たちのこころには、「意識できる部分」と
「意識できない部分」の両面があり、
その両方を大事したり、
尊重したりする姿勢が不可欠です。
(こころの、それぞれの側面を、
心理学では「意識」と「無意識」と言います)

皆さんは、ギリシャ神話のイカロスの話を、
ご存じでしょうか。

先にあげた企業の生産性・効率性・迅速性。

これらを過度に一面的に、求めていく姿は、
ロウで固めた翼で、上へ上へと大空に上り詰めた
イカロスの姿に重なります。

イカロスは、あまりに太陽に近づきすぎて、
ロウがとけて、ついには墜落してしまいました。

特定の価値観を追及して、
それに傾倒しすぎる生き方をしていると

ある日突然、自分では意図できない、
こころの影の部分(無意識)が、
偏っている流れを、ぐっと引き戻そうと働き始めます。

つまり、極端な傾向に走った生き方に対し、
バランスをとろうとする、こころの働きのひとつが
「うつ」の症状となって現れるともいえるのです。

こんな時、
「うつの症状」が、
自分に何を伝えようとしているか――。

まずは、「立ち止まってみること」。

うつを「我がまま」「怠け」「考えが甘い」と、
悪者扱いしてしまったり、

気合、気力、力技で、頑張り続けるあり方は、
長期的にみて、後々立ち上がれないほどの
ダメージを与えてしまいます。

困った状況を忌み嫌うのではなく、
人生や生き方を見直す機会ととらえてみると、
病気や問題との新しい付き合い方が
見えてくるかもしれません。

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